ファクタリング詐欺に注意!悪質業者の手口と防止策
資金繰りに行き詰まり、「即日現金化」の甘い言葉に惹かれてファクタリングを利用し、後から詐欺まがいの契約だったと気づくケースが増えています。免許不要という仕組みの隙を突き、高額手数料や違法な偽装貸付で追い打ちをかける業者も少なくありません。本記事では、ファクタリング詐欺の典型的な手口と見抜き方、安全に利用するための防止策を詳しく解説します。
ファクタリングとは?仕組みと基本
ファクタリングの基本的な流れ
ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権(請求書)をファクタリング会社に売却し、手数料を差し引いた金額を即時に受け取る資金調達手段です。銀行融資よりも資金化までの時間が短く、信用情報に影響しにくい点が特徴です。
正規のファクタリングは民法上の「債権譲渡」に基づく取引であり、「売掛金を売る」行為であって「お金を借りる」行為ではありません。売掛金の回収リスクをファクタリング会社に移転できるため、資金繰りの改善や無借金経営を志向する中小企業に多く利用されています。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違い
2社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社の間だけで取引が完結し、売掛先への通知を行わない方式です。秘密性が高く、資金化までのスピードも速い一方で、同じ債権を複数の業者に譲渡してしまう二重譲渡のリスクがあります。手数料は高くなりやすく、市場の約8割を占めるとされる一方で、この仕組みを悪用した詐欺も多く発生しています。
3社間ファクタリングは、売掛先の承認が必要となる方式で、手数料は比較的安く設定されることが多いです。売掛先に債権譲渡の通知・承諾が行われるため、債権の実在性が確認されやすく、ファクタリング会社の回収率も高い傾向にあります。その分、手続きは増えますが、トラブルや詐欺のリスクは相対的に低くなります。
正規のファクタリングと「偽装貸付」の違い
正規のファクタリングと偽装貸付を分けるポイントは、回収不能時の負担を誰が負うかという点です。利用企業が回収不能リスクを負う形であれば、実質的に貸付とみなされ、貸金業法違反となる可能性があります。
本来のファクタリングでは、売掛先が倒産して回収不能になった場合でも、原則としてファクタリング会社が損失を負担します(ノンリコース)。しかし、悪質業者の中には「買戻し特約」「不足分の補填義務」などを契約書に紛れ込ませ、実際には利用者がすべてのリスクを負う形にしているケースがあります。このような場合、名目上は「買取」であっても、実態は高金利の融資と判断され、利息制限法・出資法・貸金業法違反として処罰対象となるおそれがあります。
なぜファクタリング詐欺が増えているのか
市場拡大とコロナ禍・資金繰り悪化の影響
中小企業の資金需要が高まったことで、「即日資金化」をうたう業者に利用者が流れやすくなっています。とくに、2018年頃に話題となった「給与ファクタリング」や、2020年以降のコロナ禍の影響で銀行融資を受けづらくなった事業者が増えたことにより、「審査がゆるく、即日現金化できる」とされるファクタリング市場は急速に拡大しました。
その一方で、「請求書や注文書などの書類が1枚あれば資金を得られる」といった誤解が広まり、架空債権や二重譲渡といった不正行為も急増しています。
免許不要で悪質業者が紛れ込みやすい構造
ファクタリング自体は原則として免許不要であるため、監督が行き届かない業者が参入しやすいという構造的な問題があります。
貸金業は登録制で上限金利も定められていますが、債権譲渡(ファクタリング)は現行法上、免許制ではありません。そのため、実態が融資に近いにもかかわらず「ファクタリングだから規制対象外」と称して高額な手数料を徴収する闇金業者が入り込みやすくなっています。ホームページ上の住所や代表者情報を偽装したペーパーカンパニーも多く、利用者からは正規業者かどうかを見分けにくい状況です。
中小企業・個人事業主が狙われやすい背景
中小企業や個人事業主は取引実態の確認が難しく、新規顧客や個人というだけで「審査が甘い」と見られがちであるため、悪質業者のターゲットになりやすいといえます。
とくに、建設業や下請け企業、フリーランスなど、支払サイトが長く資金繰りが厳しくなりやすい層は、「銀行に断られた」「保証人を用意できない」といった事情から、インターネット広告やSNSで見つけた業者に頼りがちです。
さらに、個人の給与を対象とした「給与ファクタリング」は、生活費に困っている人につけ込みやすく、違法な高金利であっても契約してしまうケースが目立ちます。
典型的なファクタリング詐欺の手口
架空債権・偽造請求書を使った詐欺
実在しない請求書・注文書を使う手口
存在しない取引の請求書を偽造して売却し、ファクタリング会社から資金をだまし取る手口です。
過去に一度だけ取引したことがある相手の社名を勝手に使ったり、実在する大企業の名称やロゴに似せた架空の「発注書」「納品書」を作成するケースもあります。オンラインでテンプレートを容易に入手できるため、見た目は本物とほとんど変わらない書類を簡単に作成できてしまう点も問題となっています。
私文書偽造・詐欺罪に問われるリスク
請求書を偽造する行為は、私文書偽造罪や詐欺罪に該当する可能性があり、発覚すれば刑事責任を問われます。
架空の請求書を元にファクタリング会社から資金を受け取る行為は、「虚偽の書類を用いて他人をだまして金銭を交付させた」と評価され、詐欺罪(10年以下の懲役)の対象となります。また、請求書や注文書そのものを偽造した時点で私文書偽造罪が成立しうるため、「資金繰りが苦しかった」という事情があっても、重い処罰を受ける可能性があります。
同じ売掛金を複数に売る「二重譲渡」詐欺
二重譲渡が起きる典型的なケース
返済に行き詰まった事業者が、同一の売掛債権を複数の業者に売却して資金を得るケースや、悪意のある仲介者(ブローカー)が同じ債権を同時に複数社へ売却するケースがあります。
2社間ファクタリングでは売掛先に通知を行わないため、A社・B社それぞれに対して「この売掛金は御社にだけ譲渡する」と偽り、同じ請求書を提示して短期間のうちに二重・三重に資金化する事例が発生しています。ブローカーが間に入り、複数業者への売却をそそのかすケースもあり、被害額が数千万円から数億円規模に膨らむこともあります。
発覚後に想定される刑事・民事リスク
二重譲渡が発覚した場合、詐欺や横領の問題に発展し、返還請求や損害賠償請求、刑事告訴の対象となるおそれがあります。
通常、ファクタリング会社は売掛先に対して債権譲渡通知を行います。そのため、複数の会社から同じ債権について通知が届いた時点で二重譲渡が発覚します。この場合、債権を譲り受けた複数の業者間で優先権を巡る争いが起こるだけでなく、虚偽の説明を行った利用者は詐欺罪・横領罪で刑事告訴されるリスクがあります。民事面でも、不法行為に基づく損害賠償請求や、受け取った金銭の返還請求を受けることになります。
「ファクタリングを装う闇金」偽装ファクタリング
実態は高金利の違法貸付となるケース
ファクタリングを装いながら、実際には回収不能時に利用者へ償還を求める契約にすり替え、利息制限を超える支払いをさせる手口です。
例えば、「売掛金100万円を80万円で買い取る」と説明しながら、契約書の別条項で「売掛先が支払わない場合は利用者が全額支払う」「分割払いに変更する場合は追加手数料○%を支払う」などと定めているケースがあります。このような場合、表向きは手数料であっても、実質的には年数百%を超える金利となることがあります。貸金業登録もなく、出資法の上限金利(年20%)を大きく超える場合は、典型的な闇金として摘発対象となります。
給与ファクタリングに多い違法スキーム
給与を債権として即時現金化できると見せかけながら、その実態は短期高利の違法貸付であり、貸金業法や出資法違反となるケースが多く、摘発例も増えています。
多くの給与ファクタリング業者は「給料日までの立替」「勤務先に知られずに利用可能」と宣伝し、数万円〜十数万円を即日で渡す代わりに、次の給料日やその翌月に極端に高い「手数料」を上乗せして支払いを求めます。しかし、給与の支払い義務は雇用主と労働者の間にあり、業者が本当に債権を譲り受けているわけではありません。
このため、裁判所や金融庁は給与ファクタリングの多くを
まとめ:安全にファクタリングを利用するために
本記事でお伝えしてきたように、ファクタリングは本来、売掛金を早期に現金化するための有効な資金調達手段ですが、その仕組みを悪用する業者や、不正なスキームに誘い込もうとする闇金まがいの業者も少なくありません。
とくに、
- 売掛金が回収不能になったときの負担を利用者に押し付ける契約
- 実態が融資であるにもかかわらず「手数料」と称して高額な支払いを求める契約
- 架空債権や二重譲渡を前提とした危うい勧誘や仲介
といった場合は、契約内容や相手先を冷静に見直す必要があります。
トラブルを避けるうえでは、次の点を徹底することが大切です。
- 登録・所在地・代表者など、業者の基本情報を必ず確認する
- 「即日」「審査なし」など極端に都合のよい宣伝文句
