ファクタリング申込書の基本を3分で理解する
ファクタリング申込書とは?役割と位置づけ
ファクタリング申込書は、売掛債権をファクタリング会社に売却して現金化する際に提出する申請書類です。債権の明細、調達希望額、契約方式などを記載し、審査の出発点となります。
この申込書を基に、ファクタリング会社は「誰の、どの売掛金を、いくらで買い取るか」を判断します。オンラインフォームやPDF様式で提供されることが多く、注文書ファクタリング・請求書ファクタリングいずれの場合も、審査プロセスの入口として必須の基幹書類です。
近年はAI審査やeKYCと連動し、申込書の情報だけで一次審査が自動実行されるケースも増えています。
どんなときにファクタリング申込書が必要になるのか
受注直後や請求後に資金が必要なとき、銀行融資が使えない・時間がないときに提出します。注文書ファクタリングでは納品前にも利用されます。
特に、材料仕入れ、外注費、人件費など、「売上は見えているが入金までのつなぎ資金」が不足している場面で多く利用されます。赤字決算や債務超過、既存借入が多く銀行融資の審査が厳しい場合でも、売掛先の信用力次第で利用できるため、資金繰り対策として中小企業・個人事業主に広く用いられています。
2社間・3社間ファクタリングと申込書の違い
2社間ファクタリングは売掛先への通知が不要で、匿名性とスピードを重視する方式です。3社間ファクタリングは売掛先の同意が必要ですが、手数料は低めに抑えやすい方式です。申込書でどちらの方式を選ぶかにより、添付書類や同意確認の有無が変わります。
2社間では、売掛先に知られないことが前提となるため、取引先との関係性や現在の取引条件について詳しくヒアリングされることが多く、「売掛金回収は利用企業が行う」旨の確認項目が入ります。
3社間では、売掛先の担当部署や連絡先、債権譲渡通知の送付方法(書面・メールなど)を記載する欄が追加され、場合によっては売掛先の同意書フォーマットも同時に提出します。
申込前に押さえておきたいチェックポイント
申込書を書く前に確認すべきこと
申込書の記入前には、次の点を確認しておくことが重要です。
- 対象の請求書・注文書が有効かどうか
- 売掛先の支払期日と支払履歴
- 必要書類(通帳、身分証明書、決算書など)の準備状況
あわせて、すでに他社に同じ売掛金を譲渡していないか(二重譲渡の有無)、反社会的勢力との関係が疑われる取引先が含まれていないかも事前にチェックしておくと安全です。
注文書ファクタリングでは、見積書や契約書、納期に遅延リスクがないかといった点も整理しておきましょう。
審査担当者が見ているポイント
審査で重視されるのは、主に次のような点です。
- 売掛先の信用力
- 債権の真正性(請求書・注文書との一致)
- 直近の入金実績
- 申込者の反社チェックと事業継続性
ファクタリングは「売掛先が期日どおりに支払うか」が最重要となるため、帝国データバンクや東京商工リサーチ等の信用情報、過去の支払遅延の有無などが確認されます。
通帳3ヶ月分からは入金パターンや資金繰りの安定度を確認し、決算書や確定申告書からは継続企業としての実態が見られます。
向いている業種・向いていないケース
繰り返し取引が発生しやすい建設業、製造業、IT業などはファクタリングを利用しやすい業種です。さらに、医療・介護(診療報酬・介護報酬)、物流、人材派遣など、毎月ある程度の売掛が発生し、取引先が大企業・官公庁・公的機関である業種も、特に利用しやすい傾向があります。
一方で、単発取引が中心の事業や、債務超過・税金滞納がある場合は不利になりやすく、売掛先自体の信用が低い場合や、債権の内容が不明瞭(口頭受注のみ、書面がない等)なケースでは、申込書を整えても審査が通りにくくなります。
ファクタリング申込書の具体的な書き方ガイド
1. 申込者(自社)情報欄の書き方
会社名・屋号・代表者名の記載方法
登記上の正式名と代表者名を正確に記載します。屋号を使用している場合は、正式名称とあわせて併記してください。
法人の場合は、登記簿謄本や法人番号公表サイトの表記と統一しておくと、審査側のデータベース照合がスムーズです。個人事業主は「氏名(屋号)」の順で書くのが一般的です。
住所・連絡先・事業内容での注意点
住所欄では番地抜けや旧住所のままになっていないか、電話番号欄では携帯番号を含め誤入力がないか確認します。
事業内容欄には、「建設業(内装仕上工事)」「ソフトウェア開発(受託開発・保守)」など、売掛債権の内容と結び付きやすい表現で主要な取引内容を簡潔に記載すると、ファクタリング会社が取引の実態をイメージしやすくなり、リスク評価がしやすくなります。
2. 売掛先(取引先)情報欄の書き方
法人名・部署名の記載で注意すべき点
略称や旧商号は避け、請求書に記載されている正式表記と合わせます。部署名が重要な場合は、担当者名もあわせて記載しておくとスムーズです。
東証プライム上場企業や大手グループ会社などの場合は、正式名称に加え、支店名・事業所名まで正確に書くことで、信用調査や与信判断がより正確になります。売掛先の本社と支社が異なる場合は、請求先と支払元のどちらの情報かを明確にしておきましょう。
中小企業・個人事業主が相手の場合の注意点
中小企業や個人事業主が売掛先の場合は、代表者名や屋号、口座名義が請求書と一致しているかを事前に確認します。
商号と個人口座名義が異なる場合には、その関係性を説明できる書類(開業届の控え、各種登録証など)を用意しておくと、債権の真正性に対する懸念を減らすことができます。
3. 売掛債権(請求書・注文書)の記載方法
請求書番号・注文書番号の入力ポイント
請求書番号・注文書番号は正確に入力し、その写しを必ず添付します。番号の誤りは審査遅延の原因になりやすいため、入力後に必ず照合してください。
複数の請求書をまとめて申し込む場合は、「請求書番号・金額・支払期日」を一覧にした表を作成して添付し、申込書との整合性を確認しておくとミスを防げます。
金額・支払期日・支払条件を正確に書くコツ
請求書に記載されている金額と完全に一致していることを、提出前に二度確認します。分割支払いなど特別な条件がある場合は、備考欄に明記しておきます。
消費税、源泉所得税、各種手数料控除などにより実際の入金額が変動する取引の場合は、その内容も補足しておくと、手数料率や買取額の見積もりがより正確になります。
注文書ファクタリングの場合の記載の違い
注文書ファクタリングは納品前の売掛債権を対象とするため、受注日、納期、見積金額などを明示します。
あわせて、注文内容がキャンセルされたり数量変更されたりするリスクがないかについて、契約書や見積書とセットで説明すると、ファクタリング会社が「将来発生する売掛金」として評価しやすくなり、調達可能額が増えやすくなります。
4. 調達希望額・ファクタリング方式の記入
「売掛金額」と「希望調達額」の考え方
売掛金額に対する買取額は手数料によって変わるため、希望調達額は手数料差引後の受取見込み額として記入します。
たとえば、売掛金500万円で手数料5~10%程度を想定する場合、「400万円程度希望」といった記載にしておくと、審査側も手数料と資金ニーズのバランスを調整しやすくなります。
2社間と3社間、申込書での選び方
秘密性とスピードを優先する場合は2社間ファクタリング、コスト(手数料)を最優先し、確実な回収を重視する場合は3社間ファクタリングを選ぶのが一般的です。
2社間はファクタリング会社の回収リスクが高くなるため、手数料は3社間より高めに設定される傾向があります。この点を踏まえ、「どの程度のスピードと機密性が本当に必要か」を社内で整理したうえで、申込書の方式欄にチェックを入れるとよいでしょう。
5. 手数料・契約条件に関する記載
手数料率の目安と記載内容のチェックポイント
手数料率の相場は、業者や案件のリスクにより異なりますが、概ね5~18%程度の範囲に収まることが多いです。申込書の手数料欄と、最終的に締結する契約書の料率・条件に齟齬がないかを必ず確認しましょう。
特に、以下の点は見落としやすいため注意が必要です。
- 手数料以外の費用(振込手数料、事務手数料、印紙代など)が別途かからないか
- 買取対象期間(何カ月分の売掛金まで対象となるか)
- 買取後に売掛先が倒産・未払いとなった場合の取り扱い(償還請求の有無)
これらの条件は、申込書の段階で概要が示されていることが多いため、「手数料率だけでなく総支払コスト」を意識して確認しておくことが大切です。
まとめ:ファクタリング申込書を「審査を通す資料」に仕上げるポイント
ファクタリング申込書は、単なる形式的な書類ではなく、ファクタリング会社が「取引の全体像」を読み解くための土台となる資料です。自社情報・売掛先情報・売掛債権の内容・調達希望額と方式の選択が、それぞれ矛盾なく整っているかどうかで、審査のスピードと結果が大きく変わります。
申込前には、対象となる請求書・注文書の有効性、売掛先の支払状況、必要書類の準備状況、二重譲渡や反社リスクの有無をあらかじめ確認しておきましょう。そのうえで、登記・請求書・通帳など既存の書類と表記をそろえ、金額・支払期日・支払条件を一本化して記載することがポイントです。
また、2社間・3社間の違いを理解し、「スピード・秘匿性」と「コスト・確実な回収」のどちらを優先するのかを社内で整理しておくと、申込書の段階でファクタリング会社との認識齟齬を防ぎやすくなります。

