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ファクタリング申込書の意味と役割を理解する

目次

ファクタリング申込書とは?

ファクタリング申込書は、売掛金をファクタリング会社に売却して資金化するための正式な申請書類です。ファクタリングは売掛債権の売買であり、民法上は債権譲渡に該当します。請求書が「債権が発生した事実を示す証拠書類」であるのに対し、申込書は「その債権をどのような条件で買い取ってほしいのか」を明確にするための書類です。

申込書には、「どの債権を」「いくらで」「いつまでに」資金化したいのかといった内容が整理されます。ファクタリング会社は、この申込書の記載内容を基に債権譲渡契約書を作成し、民法第466条・467条に沿った形で債権を取得します。

近年は紙の申込書だけでなく、電子申込フォームが主流となっています。クラウド会計ソフトや請求書発行システムとAPI連携し、請求書情報が自動的に反映される仕組みも一般的になっています。

なぜファクタリング申込書が重要なのか

申込書は資金調達プロセスの起点であり、記載された情報が審査の基礎となります。売掛先の与信審査は申込書の内容に大きく依存するため、相手先の信用力や取引実績に関する情報が不十分だと、手数料が高くなったり、審査時間が長引いたりする可能性があります。また、譲渡条件や希望入金日が明確でない場合、取引が遅延しやすく、手数料や入金スピードにも直接影響します。

実務上、申込書は「審査票」と「リスク開示」の両方の役割を兼ねており、記載の仕方によって結果が大きく変わります。例えば、売掛先との継続取引の有無、入金遅延歴の有無、既に他社へ同一債権を譲渡していないかといった点は、申込書の設問を通じて確認されます。ここで情報が曖昧であったり矛盾していたりすると、二重譲渡や架空債権のリスクが疑われ、取引自体が見送られることもあります。

一方で、取引実績や売掛先の支払姿勢を丁寧に伝えることで、同じ売掛金であっても手数料が下がったり、入金スピードが上がるケースもあります。

ファクタリング申込書に必ず書くべき項目

申込企業に関する情報

会社名、住所、代表者名、連絡先は必須項目です。決算状況や他社借入の有無も審査材料となるため、最新の決算書や借入情報を正確に記載します。

あわせて、設立年月日、資本金、従業員数、事業内容、主要取引先などの情報を求められることが多く、これらは「事業の継続性」や「事業モデルの健全性」を判断する材料になります。赤字決算であっても、売掛先の信用力が高く、取引実績が安定していれば審査に通るケースも少なくありません。そのため、マイナス情報も隠さず記載し、補足欄などで資金ニーズの背景(設備投資、売上増による運転資金不足など)を説明しておくことが望ましいです。

売掛債権(請求書)に関する情報

売掛先名、請求書番号、発行日、金額、支払期日、取引内容、継続取引の有無などを明記します。取引の実態が分かる発注書や納品書なども添付すると、審査がスムーズに進みます。

審査の観点では、同一売掛先に対する過去の入金パターン(支払期日どおりに入金されているか)、請求書金額と実際の入金額に差異がないかといった点も確認されます。そのため、申込書には「売掛先の住所・担当部署・連絡先」「請求条件(支払サイト・締め支払の慣行)」「これまでの取引年数」なども、可能な範囲で詳しく記載すると、ファクタリング会社側での照会がしやすくなり、結果として審査時間の短縮につながります。

譲渡条件と希望内容

譲渡希望額、希望入金日、2社間/3社間の希望方式、想定手数料率や買取条件を記載します。方式の選択は、機密保持や手数料水準に影響します。

2社間ファクタリングを希望する場合は、「売掛先へ通知しない理由(取引継続への影響懸念など)」や「自社で回収を行う体制(売掛管理の担当者やフロー)」を補足しておくと、リスク管理ができている企業として評価されやすくなります。

3社間ファクタリングを希望する場合は、売掛先担当者名や部署、債権譲渡通知への事前同意の有無を明記しておくと、内容証明郵便などの手続きがスムーズに進みます。また、「手数料を抑えたいので入金まで多少時間がかかってもよい」といった希望条件も申込書に明示しておくと、条件交渉の余地が生まれます。

申込書提出時に求められる主な添付書類

請求書・成因資料の意味

債権の真正性を示す請求書、発注書、納品書は必須書類です。インボイス制度下では、適格請求書であることが確認されますので、保存・提出には注意が必要です。

特に、架空請求や二重譲渡を防ぐ観点から、「請負契約書」「注文書」「検収書」など、取引が実際に存在したことを示す成因資料一式を求められることが一般的です。最近はPDFや画像データでの提出が認められるケースが多く、クラウド請求書サービスから直接データ連携する方式も増えています。

また、支払期日までの残り日数も重要なポイントです。申込時点で支払期日が目前の請求書は買取対象外とされることもあるため、少なくとも入金予定日の6営業日以上前の債権を選んで申し込むのが安全です。

会社・代表者に関する書類

登記簿謄本、決算書または確定申告書、身分証明書、通帳コピー(直近数か月分)は、本人確認と資金繰り状況の確認のために提出を求められます。

通帳コピーについては、口座名義、金融機関名、支店名、口座番号に加え、過去2〜4か月分の入出金明細を提出するケースが多く、ここから売掛先からの入金実績や支払遅延の状況、他社借入の返済状況などが確認されます。

個人事業主の場合は、運転免許証やマイナンバーカードなどの身分証明書に加え、「開業届控え」や「青色申告承認申請書の控え」などの提出を求められることもあります。これらの書類を事前にスキャンしておき、すぐにアップロードできる状態にしておくと、申込から入金までの時間を短縮しやすくなります。

2社間・3社間で申込書の意味はどう変わるか

2社間ファクタリングの場合

2社間ファクタリングは売掛先への通知を行わないため機密性が高く、その分、利用企業側の負担が大きくなります。審査では申込企業の資料と取引実績がより重視されます。

2社間では、売掛先はファクタリング利用の事実を知らないまま、従来どおり申込企業に支払いを行い、申込企業がその資金をファクタリング会社に支払います。このため、申込書では「自社の資金繰り計画」「今後の返済原資」「売掛金以外の借入状況」など、キャッシュフローに関する情報の記載が特に重要となります。

機密性の高さから中小企業に人気がある一方で、ファクタリング会社にとっては回収リスクが高いため、同じ売掛先・同じ金額であっても、3社間より手数料が高く設定される傾向があります。

3社間ファクタリングの場合

3社間ファクタリングは売掛先の同意が必要であり、内容証明郵便などによって債権譲渡の通知を行うことが一般的です。売掛先の承諾が得られるかどうかが契約成立の鍵となるため、申込書の段階で相手先担当者の情報や承諾可否を明確にしておくことが重要です。

3社間では、売掛先が直接ファクタリング会社に支払いを行う構造のため、ファクタリング会社の回収リスクは比較的低く、その分手数料も抑えられる傾向にあります。申込書には、売掛先の決算書や支払サイト、取引契約書の有無など、売掛先の信用情報も可能な範囲で記載・添付することが望まれます。

また、民法第467条に基づき、債権譲渡通知または承諾書に確定日付を付与する必要があるため、「誰宛に」「どの住所へ」内容証明郵便を送るべきかといった実務情報も、申込書の中で整理されます。

ファクタリング申込書が使われる具体的な流れ

申込〜審査〜契約〜入金までのステップ

一般的な流れは、

  • Webフォーム入力
  • 申込書提出
  • 書類審査・与信調査
  • 契約締結
  • 手数料差引後の入金

というステップです。近年はAI審査やAPI連携により、オンラインで完結するケースが増えています。

具体的には、まずホームページ上の簡易フォームで「希望金額」「売掛先名」「支払期日」などの概要を送信し、その後、メールやマイページ上で正式な申込書フォーマットが提示されます。必要事項を記入し、添付書類をアップロードすると、ファクタリング会社側で売掛先の登記情報・信用情報の確認や、債権の真正性(二重譲渡の有無など)のチェックが行われます。

まとめ:ファクタリング申込書を戦略的に活用する

ファクタリング申込書は、売掛金をどの条件で資金化するのかを示す、取引の出発点となる書類です。申込企業の情報、売掛債権の内容、譲渡条件を正確かつ具体的に記載することで、審査のスピードや手数料水準に大きな差が生まれます。とくに、売掛先との取引実績や支払姿勢、資金ニーズの背景などを丁寧に説明しておくことで、同じ請求書でも評価が変わることは珍しくありません。

また、請求書・成因資料、登記簿謄本や通帳コピーなど、求められる添付書類を事前に揃えておくことで、申込から入金までの時間を短縮しやすくなります。2社間・3社間のどちらを選ぶかによって、申込書で重視されるポイントや記載すべき情報も変わるため、自社の資金繰りや取引先との関係を踏まえたうえで方式を選び、申込書を「単なる書類」ではなく戦略的な交渉ツールとして活用していくことが重要です。

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