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ファクタリングのCMを分析|企業の狙いと市場動向

目次

ファクタリングCMが急増している背景

コロナ禍と中小企業の資金ニーズ拡大

最近、テレビやYouTubeで「ファクタリングのCM」を目にする機会が一気に増えたと感じていませんか。なぜ今、ファクタリングがこれほどまでに広告に登場するのでしょうか。本記事では、コロナ禍以降の資金ニーズの変化や市場拡大、新規プレイヤーの参入といった背景から、ファクタリングCMの特徴や狙いまで、具体例を交えながらわかりやすく解説していきます。

近年、「ファクタリングのCM」が目立つようになっている背景には、コロナ禍をきっかけとした中小企業・個人事業主の資金繰りニーズの急増があります。銀行融資を受けにくい層に対して、ファクタリングは直接アプローチしやすい資金調達手段となりました。

テレビCMやWeb広告を通じて、「これまで知られていなかった資金調達手段」としてのファクタリングを広く認知させ、視聴者を問い合わせから即契約へと誘導する流れが確立されつつあります。銀行窓口での融資説明を受けるのではなく、視聴者がCMでサービス内容を即座に理解し、そのまま申し込むという「CMで知る資金調達」への行動変化も起きています。

市場拡大と新規プレイヤーの参入

日本のファクタリング市場は、2025年時点で約1兆円規模に達すると見込まれており、今後も拡大が予測されています。ファクタリングは「売掛債権の売買」というスキームであり、貸金業法のような厳格な規制の対象外であることから、新興のファクタリング会社やFinTech企業が参入しやすい分野です。その結果、プレイヤー間の競争が激しくなり、「オンライン完結」「AI審査」といった機能を打ち出した差別化競争が進んでいます。

こうした差別化は広告にも波及しており、特にテレビCMやWeb CMで、自社サービスのスピードや利便性を前面に打ち出す傾向が強まっています。

業界課題の啓発型CMの増加

トラック運送業や建設業など、売掛金回収の遅れが慢性化している業界では、資金繰りの悪化が長年の課題となっています。国土交通省などの行政も取引環境の改善を重要テーマとして位置付けており、業界団体がCMを制作して、売掛金の早期回収や適正な支払サイトの是正を訴える動きが見られます。

このような「啓発型CM」と、ファクタリング事業者による「自社サービス訴求型CM」が併存していることも、ファクタリング関連CMが増えている一因といえます。


ファクタリングCMでよくある訴求ポイント

「最短即日入金」「審査が早い」

ファクタリングのCMでは、「最短2時間」「当日入金」といったスピード感を強調する表現が多く見られます。これは、売掛金を提出して簡易審査を受けるだけで即座に資金化できるケースを前面に出し、支払期日前に発生する人件費や仕入れ資金などの急な資金需要を強く意識した訴求です。

実務面では、オンライン申し込みや書類アップロード(請求書・発注書・通帳3ヶ月分など)に対応する会社が増えています。審査プロセスの標準化やAIスコアリングの導入により、本当に数時間で振込まで完了するケースも存在します。特に、売掛先が上場企業や大企業など信用力の高い場合は、一定条件を満たせば「定型案件」として高速処理されやすく、「スピード」を売りにしたCM表現が成立しやすい構造があります。

「赤字OK」「担保・保証人不要」

「赤字でも利用可能」といった訴求がなされるのは、ファクタリングの審査が利用企業ではなく、売掛先の支払能力を重視する仕組みであるためです。銀行融資は決算内容や担保の有無を重視しますが、ファクタリングでは売掛債権の回収可能性が審査の中心となります。この違いを前面に出すことで、銀行融資との対比を明確にしています。

CMでは、「決算が赤字でも」「創業間もない個人事業主でも」といったコピーを用い、銀行融資に断られた経験のある層に強く訴求します。さらに、不動産担保や代表者保証が不要であることを強調することで、「個人資産をリスクに晒したくない」という心理的ハードルを下げ、初回利用への抵抗感を和らげています。赤字企業や個人事業主の利用比率が相対的に高いというファクタリング市場の実態とも整合的な訴求です。

「借入ではない」強調の意図

CMで「借入ではない」と繰り返し強調されるのは、負債計上を避けたい企業心理に働きかけるためです。ファクタリングは売掛金の売買であり、会計上は売掛債権の譲渡(売却)として処理されます。このため、貸借対照表上の有利子負債は増加しません。

債務超過を避けたい企業や、金融機関との借入枠を温存したい企業にとって、この点は大きなメリットとなります。そのため、「借入ではない」というコピーを繰り返し用いるCMが多く見られます。

一方で、ファクタリングには手数料等のコストが発生します。年換算すると銀行融資より高コストとなるケースも少なくありません。「借入ではない=実質的に安い資金」ではないにもかかわらず、そのような誤解が生まれるおそれもあり、今後の規制やガイドラインにおいて論点となり得るポイントです。


CMから見えるファクタリング会社のビジネスモデル

2社間ファクタリングを推すCMの特徴

2社間ファクタリングを訴求するCMでは、「取引先に知られない」「即日入金」といった表現が多用されます。手数料はやや高めになるものの、スピードと秘密性を重視する構図を、短い時間の中で明確に伝えている点が特徴です。

2社間ファクタリングでは、利用者(債権者)とファクタリング会社のみが契約当事者となり、売掛先には契約内容を通知しません。売掛金の回収は、売掛先から入金された資金を利用者がいったん受け取り、その後ファクタリング会社へ支払う流れとなるため、ファクタリング会社にとっては回収リスクが相対的に高くなります。このリスクを反映し、手数料は0.5〜12.5%程度と高めに設定されることが一般的です。

CMの中では、この「高い手数料」という側面にはほとんど触れず、「全国どこでもオンライン」「書類3点だけでOK」といった利便性や、「スピード」「秘密性」といった要素を強調するメッセージが前面に出されています。

また、取引先に知られないことは、売掛先との関係悪化を避けたい中小企業にとって重要なポイントです。そのため、「内緒で資金繰りを改善」「取引先に迷惑をかけない」といったコピーにより、心理的な安心感を訴求するケースも増えています。

3社間ファクタリングを打ち出すCMの特徴

3社間ファクタリングを訴求するCMでは、「安心」「低コスト」といったキーワードがよく用いられます。売掛先を巻き込んで支払先をファクタリング会社に変更することで、回収リスクを抑えられる点を前面に出し、その結果として実現する手数料の低さをメリットとして提示します。

3社間ファクタリングでは、売掛先がファクタリング会社への支払に同意し、支払期日に直接ファクタリング会社へ振込を行います。ファクタリング会社側のリスクが下がるため、手数料水準も2社間に比べて抑えられることが一般的です。「大口取引の資金化」「長期的な取引関係を守りながらキャッシュフローを改善」といったメッセージで、中堅〜大企業を対象とした落ち着いたトーンのCMになる傾向があります。

一方で、売掛先に対して「資金繰りが厳しいのではないか」という印象を与えてしまう懸念もあります。そのためCMでは、「取引先にもメリットがあるスキーム」「支払期日や支払条件は変えず、支払フローだけを合理化」といった説明を加え、ネガティブなイメージを和らげる工夫が見られます。


具体的なファクタリングCM事例と分析

トラック運送業界の啓発型CM事例

トラック運送業界では、「荷待ち時間」や「売掛金の支払遅延」が現場の大きな負担となっており、これらが資金繰り悪化の要因となっています。静岡県などの業界団体は、こうした業界特有の課題をテーマにしたテレビCMを制作し、現場の負担軽減や取引環境の改善を訴えています。

実際には、国土交通省中部運輸局のイニシアチブのもと、静岡県トラック協会などが15秒のテレビCMを制作し、「適正な支払サイト」「荷待ち時間の削減」を呼びかけた事例があります。このCMでは、ファクタリングそのものを直接的に宣伝するのではなく、「運送事業者が安定した資金繰りを確保できる取引環境を整えるべきだ」という啓発メッセージが中心となっています。

このようなCMは、荷主企業に対して「下請けの運送会社に過度な支払条件を押し付けないでほしい」というソフトな圧力をかける役割を果たし、その結果としてファクタリングや売掛金早期回収スキームの必要性を間接的に浮かび上がらせています。個別のファクタリング会社が行うCMとは異なり、「業界全体としての取引慣行改善」を主題としている点が特徴です。

個人事業主・フリーランス向けオンラインファクタリングCM

Web動画やYouTube広告などオンライン媒体では、「スマホで完結」「オンライン審査」といった手軽さを強調したファクタリングCMが増えています。短い動画の中で、申込から審査、入金までの流れをシンプルに示し、若年層や個人事業主を主なターゲットとしています。

2020年代以降、クラウド型・AI審査型のファクタリングサービスが増加し、「請求書を撮影してアップロード」「最短2時間で入金」といった具体的な利用イメージを、アニメーションやイラストを通じて直感的に伝える構成が主流になりました。これにより、従来は法人向けのイメージが強かったファクタリングが、フリーランスや副業ワーカーにも身近なサービスとして認知されつつあります。


ファクタリングCMから読み解けるポイントと注意点

ファクタリングのCMが増えている背景には、コロナ禍以降の資金繰りニーズの拡大、市場の成長、新規プレイヤーの参入による競争激化があります。テレビやWebを通じて、従来は一部の企業しか知らなかったファクタリングが、中小企業や個人事業主にも広く認知されつつあります。

CMで頻出する

  • 「最短即日入金」
  • 「赤字OK」
  • 「担保・保証人不要」
  • 「借入ではない」

といったコピーは、いずれも銀行融資との違いを強調し、自社サービスのスピード感や利用ハードルの低さを印象づける狙いがあります。

一方で、特に2社間ファクタリングでは手数料が高くなりやすく、CMだけを見て判断するとコスト感覚とのギャップが生まれるおそれもあります。利用を検討する際は、

  • 手数料率(年換算でどの程度になるか)
  • 2社間・3社間いずれのスキームか
  • 契約書に記載されている違約条項・追加費用の有無

などを事前に確認しておくことが重要です。

また、トラック運送業界などの啓発型CMのように、特定のサービスを売り込むのではなく、「売掛金の支払遅延」や「支払サイトの適正化」といった業界課題をテーマにした取り組みも増えています。こうした動きは、ファクタリングだけに依存しない、より健全な資金循環の実現という観点からも注目すべき流れといえるでしょう。

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