銀行への返済をリスケ中でも、目の前の支払いは待ってくれません。「融資が止まり、資金繰りの手がない」と感じたとき、選択肢に入ってくるのがファクタリングです。ただし、どの会社でも同じというわけではなく、リスケ中の事情を理解し、適切な条件で取引してくれる会社を見極める視点が欠かせません。本記事では、その具体的な判断基準を整理します。
リスケジュール中でも利用できるファクタリング会社の探し方
リスケ中にファクタリングを検討すべきタイミング
リスケで元金返済が据え置かれているものの、日々の運転資金が不足して取引に支障が出ると判断したときが、ファクタリングを検討すべきタイミングです。売掛金の回収見込みが明確で、短期間のつなぎ資金によって資金繰りの改善が見込める場合に有効です。
特に、次のようなケースでは、ファクタリングにより売掛金を前倒しで回収することで、資金繰りを平準化しやすくなります。
- 売掛金・受取手形の入金までの「経常運転資金」が不足しているとき
- 売上が一時的に増加し、「増加運転資金」が膨らんでいるとき
一方で、売上や粗利の改善見込みが乏しく、リスケで得た猶予期間中に収支が好転するシナリオを描けない場合は、ファクタリングを利用しても根本的な解決にはつながりません。銀行向けの経営計画書や資金繰り表を作成する過程で、「いつ・いくらの売掛金を現金化すれば乗り切れるのか」を具体的に検討したうえで判断することが重要です。
「リスケ中=銀行NG」とファクタリングが注目される理由
リスケ中は銀行からの新規融資が難しくなるため、返済義務を伴わない買取型ファクタリングが注目されます。ファクタリングは売掛先を中心に審査するため、赤字やリスケ中であっても利用できるケースがあり、即効性のある資金調達手段となり得ます。
リスケはあくまで「返済の時間的猶予」であり、その期間中も利息の支払いは継続し、返済義務自体がなくなるわけではありません。さらに、リスケに入った企業に対して銀行は、3か月に1回程度の定期的な経営報告や資金繰り表の提出を求めることが一般的であり、新規の追加融資のハードルは極めて高くなります。
こうした状況のなかで、ファクタリングは次のような点から、リスケ中の「つなぎ資金」として選ばれやすくなっています。
- 融資ではないため「新たな借入」として扱われない
- 審査が早く、最短即日で現金化できる
- 売上がある限り、一定の資金調達余地が生まれる
ファクタリングとリスケの違い
ファクタリングは売掛債権を売買して現金化する手法であり、リスケは既存借入の返済条件を変更して猶予を得る手法です。ファクタリングは「資金を創出する手段」、リスケは「支出を先送りする手段」と理解してください。
併せて押さえておきたいポイントは次のとおりです。
- ファクタリング(買取型)は返済義務が発生しない一方で、手数料コストが発生する
- リスケは元金返済を止められますが、利息支払いは原則継続であり、債務総額は残る
実務上は、リスケで返済負担を軽くしつつ、その猶予期間にファクタリングや他の調達手段を組み合わせて資金繰りを組み立てるケースが一般的です。
リスケ中でもファクタリングが利用できる理由
ファクタリングの審査ポイント
銀行融資は決算内容や返済原資を重視しますが、ファクタリングは売掛先の信用力と債権の回収可能性を重視します。取引先が大手・優良企業であれば、審査は通りやすくなります。
| 項目 | 銀行融資 | ファクタリング |
|---|---|---|
| 主な審査対象 | 自社の決算・返済原資 | 売掛先の信用力・債権内容 |
| 返済義務 | あり(元金+利息) | なし(売掛金の買取) |
| 資金調達のスピード | 数週間〜 | 最短即日〜数日 |
銀行融資で主に見られるポイントは以下の3点です。
- 借入金額:既存借入とのバランスや返済負担
- 資金使途:運転資金か設備資金か、既存借入の返済に充てていないか
- 返済財源:税引後当期純利益と減価償却費で返済していけるか
これに対し、ファクタリング会社が重視するのは次のような点です。
- 売掛先企業の信用力(財務内容、取引年数、支払遅延の有無など)
- 売掛債権の内容(請求書や契約書の有無、支払期日、取引の継続性)
- 債権譲渡に法的な問題がないか
このため、利用企業が赤字決算であったり、リスケ中であったりしても、「売掛先がしっかりしている」「取引実績が安定している」といった条件を満たす場合は、審査通過の余地があります。
赤字・リスケ中・税金滞納でも利用できるケース
赤字決算や税金滞納、リスケ中であっても、売掛先の信用が高ければファクタリングを利用できる場合があります。ただし、対応方針はファクタリング会社によって異なるため、事前確認が必要です。
特に注意したいのは、次のようなケースです。
- 税金・社会保険料に滞納がある場合
- ノンバンクやビジネスローンの返済に遅延がある場合
これらは銀行融資では強いマイナス要因となりますが、ファクタリングは「融資」ではないため、条件付きで取り扱う会社も存在します。ただし、滞納が差押えなどに発展すると売掛債権にも影響し得るため、猶予制度(納付のリスケ)なども活用しつつ早期に整理しておくことが、ファクタリング審査の観点からも望ましいと言えます。
また、リスケ中は銀行からの新規融資がほぼ止まるため、エスクロー型のビジネスローンや柔軟な審査を行うノンバンクと、ファクタリングを組み合わせて資金を繋ぐ事例もあります。ただし、金利や手数料の負担が重くなりやすいため、総コストの把握が不可欠です。
銀行から見たファクタリング利用の信用への影響
銀行はファクタリングをキャッシュフロー改善策として一定程度評価する一方で、常態化した利用は「資金繰りに懸念がある」と受け取る場合があります。そのため、利用目的や期間について説明責任を果たすことが重要です。
特に注意すべきポイントは次のとおりです。
- ノンバンク借入や高コストのファクタリング残高が増えていると、次回融資審査でマイナス評価になりやすい
- リスケ中であるにもかかわらず、銀行に相談せずに外部調達を積み上げると、「情報を隠している」と見なされるリスクがある
一方で、次のように目的・期間・金額を明確にし、資金繰り表や経営計画に反映したうえで担当者へ説明すれば、銀行側も合理的な運転資金対策として理解しやすくなります。
- 「一時的な売上増に伴う増加運転資金をカバーするため、期間限定で利用した」
- 「リスケ期間中の資金繰りを安定させ、経営改善計画をやり切るための補完手段として利用した」
リスケ中にファクタリング会社を選ぶときの絶対条件
「リスケ中OK」と明示しているかを確認する
募集要項やFAQで「リスケ対応可」と明記しているかを必ず確認してください。明記がない業者は、申し込み後に断られる可能性があります。
特に、次のような記載があるかどうかをチェックすると、審査落ちによる時間の無駄を減らせます。
- 「税金滞納中でも相談可」
- 「リスケ中・返済条件変更中の企業も対象」
一方で、「銀行借入に延滞のある企業は不可」「リスケ中は原則対象外」などの但し書きがある場合は、別の業者を検討したほうが効率的です。
審査基準でチェックすべきポイント
ファクタリング会社を比較する際は、次のような審査基準を確認してください。
- 売掛先(取引先)の信用を重視するかどうか
- 決算内容やリスケ状況をどの程度考慮するか
- 税金・社会保険料の滞納に対するスタンス
加えて、以下のような記載の有無も確認すると、各社のリスク許容度を把握しやすくなります。
- 「決算が赤字でも○期までなら相談可」
- 「債務超過でも売掛先が優良であれば可」
リスケ中は、銀行融資のような厳格な財務基準をクリアしにくいため、「売掛先審査型」であることを明確に打ち出している会社を優先するのが現実的です。
手数料・入金スピード・買取率のバランスを確認する
手数料が低くても入金が遅ければ、資金繰りには役立ちません。買取率(現金化率)と手数料、入金スピードを総合的に見て判断することが重要です。
リスケ中は資金繰りに余裕がないケースが多いため、まず次の点を資金繰り表で事前に確認してください。
- どのタイミングで現金が必要か(支払期日との関係)
- そのために許容できるコストはいくらか
そのうえで、各社について次のような条件を比較する必要があります。
- 即日から2営業日程度で入金可能か
- 買取率がおおむね何%か(例:80~90%など)
- 手数料以外の固定費や最低手数料がないか
トラブルを避けるための「危ないファクタリング会社」の見分け方
違法な貸金業まがいのスキームを見抜くポイント
売掛先ではなく自社の信用を主な審査基準とする業者や、名義貸しを要求する業者、契約書の内容が曖昧な業者には注意が必要です。
具体的には、次のようなケースは貸金業法違反のリスクをはらんでいます。
- 売掛金の実在性や売掛先の信用をほとんど確認せず、「代表者の与信」だけで契約を進めようとする
- 契約書上は「売掛債権譲渡」としながら、実態は返済期日と利息相当の支払いを求める貸付になっている
- 二者間ファクタリングを装い、売掛先への通知を避ける代わりに過大な違約金やペナルティを設定している
このようなスキームは、のちに契約が無効と判断されたり、過大な支払いを求められたりするリスクがあります。契約前に内容を読み込み、不明点は必ず書面で確認することが重要です。
リスケ中のファクタリング利用で押さえるべき3つのポイント
リスケ中のファクタリング利用は、「資金繰りの延命策」ではなく、「経営計画をやり切るための限定的な手段」として位置づけることが肝心です。そのうえで、次の3点を押さえておくと判断を誤りにくくなります。
1. 「いつ・いくら現金が必要か」を資金繰り表で明確にする
1つ目は、「いつ・いくら現金が必要か」を資金繰り表で明確にしたうえで、本当にファクタリングが有効な場面かを見極めることです。売掛金の回収見込みと経営改善のシナリオが描けていない状況での利用は、負担だけが残りやすくなります。
2. 「リスケ中OK」「売掛先重視型」の会社を選ぶ
2つ目は、「リスケ中OK」「売掛先重視型」と明示している会社を選び、審査基準・手数料・入金スピード・買取率をトータルで比較することです。入金タイミングとコストのバランスが自社の資金繰りに適合しているかを、事前にシミュレーションしておく必要があります。
3. 銀行との関係を悪化させないように情報共有する
3つ目は、リスケを行っている銀行との関係を悪化させないよう、ファクタリング利用の目的や期間、金額を開示し、資金繰り改善の一環として説明できるようにしておくことです。これにより、将来的な追加支援やリスケ条件見直しの際に、「情報開示の姿勢がある先」として評価されやすくなります。

