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ファクタリングの限度額は?審査で決まる金額相場

「ファクタリングを使いたいが、限度額はいくらまで見込めるのか」。こうした疑問は、資金繰りを考える経営者なら一度は抱くものです。本稿では、ファクタリングの限度額の考え方から、審査でどこが見られ、実際にいくら手元に残るのかまでを整理し、金額感の目安と業者選びのポイントを解説していきます。

目次

ファクタリングの限度額は?まず「上限の考え方」を押さえよう

「限度額=いくらまで資金調達できるか」の基本

ファクタリングにおける限度額とは、ファクタリング会社が1件の売掛債権について買い取れる上限金額を指します。買取は債権額を上限として行われ、そのうち手数料を差し引いた金額が実際に手元に入る資金です。ファクタリング会社ごとに下限・上限が設定されているため、必要な資金額に応じて業者を選定することが重要です。

多くの専門業者は「最低◯万円〜上限◯億円まで」といったレンジを公表しており、例えば「下限50万円〜上限5,000万円/件」や「100万円〜3億円まで」といった水準が一般的です。

銀行融資と異なり、「自社がいくらまで借りられるか」ではなく、「対象となる売掛債権がいくらあり、そのうち何割まで買い取ってもらえるか」という発想で限度額を考える必要があります。

売掛債権の金額と手数料の関係(いくら手元に残るか)

受取額は一般に、
受取額 = 売掛債権額 × 掛け目(例:80〜95%) − 手数料」で計算されます。
掛け目や手数料は、売掛先の信用力や入金までの期間によって変動するため、形式上の限度額どおりに資金調達できるとは限りません。

例えば、額面1,000万円の売掛債権で掛け目90%、手数料5%の場合、買取上限は900万円ですが、そこから手数料50万円が差し引かれ、実際に手元に入るのは850万円です。同じ1,000万円の債権でも、売掛先の信用が低い、入金まで120日と長いといった条件が加わると、掛け目が80%・手数料10%などに下がり、受取額は700万円程度まで減ることもあります。

このように、名目上の「限度額」と、最終的に口座に入金される「実質の限度額(=受取額)」は必ずしも一致しない点に注意が必要です。

銀行融資の「与信枠」との違い

銀行融資は借入枠(与信)を設定し、その範囲で借入を行うことで返済義務が発生します。一方、ファクタリングは売掛債権の売買であり、借入ではないため、負債が増加しないという特徴があります。銀行の与信枠は自己資本や利益水準、過去の返済実績など「自社の信用力」によって決まりますが、ファクタリングは「売掛先の信用力」が重視されます。

具体的には、「誰に対する売掛金か」「その売掛先がどれだけ安定して支払いを行ってきたか」が主な判断材料になります。自社が赤字決算であったり、税金滞納があって銀行からの借入が難しい場合でも、売掛先が大企業や官公庁など信用力の高い相手であれば、一定の限度額を確保できるケースは少なくありません。

また、ファクタリングは売掛債権を現金に入れ替える取引であり、バランスシート上は資産の組み替えにとどまります。そのため、借入金のように負債が増加せず、信用情報への影響も限定的です。

ファクタリングの限度額はどう決まるか?審査のチェックポイント

限度額を左右する主な要素

ファクタリングの限度額を決める際には、主に次のような点がチェックされます。

  • 売掛先(取引先)の信用力
  • 売掛債権の金額・件数・分散状況
  • 入金サイト(回収までの期間)
  • 自社の財務状況・税金や社会保険料の滞納状況
  • 債権の真正性(二重譲渡のリスクの有無)

これらに加えて、「業者ごとの買取方針・上限設定」も限度額に直結します。例えば、1件あたり150万円までの小口特化型の業者もあれば、1件5,000万円〜1億円クラスまで対応できる高額案件向けの業者もあります。

売掛先の信用力が高く、複数の売掛先に債権が分散しており、入金サイトも60日以内と比較的短い場合には、掛け目が上がり、限度額も出やすくなります。一方で、税金や社会保険料の滞納があると「資金繰りが厳しい=将来のトラブルリスクが高い」と判断され、買取自体を断られたり、限度額が絞られたりするケースがあります。

「掛け目」と「手数料」から見る実質限度額

一般に、売掛先の信用力が高いほど掛け目は高く、手数料は低く設定されます。逆に、回収期間が長い、売掛先の信用力が十分でないといった場合には、掛け目が下がり、実質の調達額も減少します。

掛け目はおおむね80〜95%程度の範囲で設定されます。3社間ファクタリングで売掛先が大企業・官公庁などの場合は90〜95%と高めになる一方、2社間で売掛先が中小企業、かつ入金サイトが長い場合には70〜85%程度にとどまることもあります。

手数料については、2社間ファクタリングで10〜30%、3社間ファクタリングで1〜10%程度と、方式によっても水準が変わります。このため、同じ額面1,000万円の売掛債権であっても、「掛け目」と「手数料」の組み合わせによって受取額は大きく変わります。見積もりを比較する際は、「買取率(掛け目)」だけでなく、「最終的に手元に残る金額」を基準に検討することが実務上重要です。

審査フローのイメージ(オンライン完結・AI審査の場合)

近年は、請求書などをオンラインでアップロードし、AI審査によって債権内容や二重譲渡リスクをチェックし、売掛先の信用調査を経て掛け目・上限額を即時提示するサービスが増えています。

オンライン完結型のサービスでは、会計ソフトや請求書発行ツールと連携し、売掛データを自動取得することで、債権額や入金履歴の確認を機械的に行います。AI審査では、次のような情報を自動スコアリングするのが一般的です。

  • 過去の入金実績
  • 売掛先の業種・規模・財務情報
  • 同一債権の過去利用履歴(重複申込みの有無)

これにより、数分〜数十分程度で暫定的な限度額と手数料の目安が提示されることがあります。その後、人による最終確認の段階で、契約書や発注書との整合性、債権譲渡禁止特約の有無などがチェックされ、正式な限度額が確定します。

ファクタリングの限度額相場はどれくらいか

個人事業主・小規模企業の限度額相場

個人事業主や小規模企業の場合、下限は数万円〜数十万円程度で、上限は業者によって異なりますが、数十万〜数百万円の範囲に収まるケースが多く見られます。

新興のオンラインファクタリングでは、初回の上限を30万〜150万円程度に抑え、利用実績や売掛先の安定性が確認できるにつれて、徐々に枠を拡大する方式が一般的です。飲食・小売・フリーランスなど、小口の取引が中心となる事業者向けには、「1万円単位から利用可能」「振込まで最短即日」といった少額・短期型サービスが増えています。これらのサービスでは、与信枠というよりも、請求書1件ごとに細かく限度額が設定されるイメージです。

中小企業の一般的な限度額レンジ(数十万円〜数千万円)

中小企業の場合、取引先が大手企業であれば、数千万円まで対応する業者もあります。1件あたり数百万円〜数千万円程度が一般的なレンジです。

製造業・建設業・IT受託開発など、プロジェクトごとにまとまった売掛が発生する業種では、「1件500万円〜3,000万円程度」「総額で1億円前後」まで対応するファクタリング会社も珍しくありません。一方で、1件あたりの上限を5,000万円などに設定している会社もあるため、1億円超の売掛金を1社分まとめて売却したい場合には、「1件あたりの上限条件」に合致するかどうかを事前に確認しておく必要があります。

高額案件(1億円以上)のよくあるパターン

1億円を超える規模の高額案件では、大手ファクタリング業者のほか、証券化スキームやABL(売掛債権担保融資)を組み合わせて対応するケースが増えています。こうした場合、手続きや審査はより厳格になります。

1億円〜数十億円規模の案件では、次のようなスキームが用いられることがあります。

  • メガバンクや大手ノンバンク系が組成する「売掛債権流動化」スキーム
  • 売掛債権担保融資(ABL)との組み合わせ
  • 複数のファクタリング会社による協調取引

大口案件の場合、売掛先の格付や契約条件の詳細なリーガルチェック、債権譲渡登記の実施などがセットになり、審査期間も数日〜数週間程度と長めになりますが、その分、限度額も「上限1億円超〜10億円クラス」まで引き上げられる余地があります。

2社間・3社間でこんなに違う?方式別の限度額

2社間ファクタリングの限度額相場と特徴

2社間ファクタリングは、利用企業とファクタリング会社の2者間で完結し、売掛先には通知を行いません。そのため利便性は高い一方で、ファクタリング会社側のリスクが大きく、限度額や掛け目は比較的低めに設定される傾向があります。

売掛金の回収まで自社が担う形になるため、ファクタリング会社から見ると「回収不能リスク」「資金使途の不透明さ」などを織り込む必要があり、手数料は高め・掛け目は低めに出やすくなります。結果として、名目上の限度額も、同条件の3社間に比べると抑えられるケースが一般的です。

2社間ファクタリング 3社間ファクタリング
取引当事者 利用企業+ファクタリング会社 利用企業+ファクタリング会社+売掛先
売掛先への通知 なし あり
掛け目の目安 おおむね70〜85% おおむね90〜95%
手数料水準 10〜30%程度 1〜10%程度
限度額の出やすさ 同条件なら低くなりやすい 同条件なら高くなりやすい

3社間ファクタリングとの比較ポイント

  • 売掛先が支払先をファクタリング会社に変更するため、回収リスクが下がり、掛け目が高く・手数料が低くなりやすい
  • その結果として、同じ売掛債権額でも、3社間のほうが「実質の限度額(受取額)」は大きくなりやすい
  • 一方で、売掛先への通知・同意が必要なため、「資金繰りの状況を知られたくない」場合には2社間が選ばれることも多い

まとめ:限度額を見るときの実務的なポイント

本稿で見てきたとおり、ファクタリングの限度額は「自社の信用力」よりも「売掛先の信用力」と「債権条件(入金サイト・件数・分散状況など)」によって左右されます。表面的な「◯億円まで対応」といった数字だけで判断するのではなく、掛け目と手数料を踏まえた「実際にいくら手元に残るのか」という観点が欠かせません。

個人事業主・小規模事業者であれば数十万〜数百万円、中小企業であれば数百万円〜数千万円規模が一つの目安です。1億円を超える大口案件では、専門性の高いスキームや複数社による協調取引が前提となり、審査も時間を要するのが一般的です。また、2社間か3社間かによっても、限度額・掛け目・手数料の水準は大きく変わります

資金繰りを検討する際は、「どの債権を、いくらまでなら、どの方式(2社間/3社間)で売却するのが最も有利か」を軸に、複数社から見積もりを取りながら比較検討することが重要です。

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