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実際にあったファクタリング詐欺事例と学ぶ教訓

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実際にあったファクタリング詐欺事例と学ぶ教訓

資金繰りに行き詰まり、ファクタリングに望みを託した結果、詐欺被害や思わぬ刑事責任に直面する事例が増えています。架空請求書の偽装や同一債権の二重譲渡、給与ファクタリングを装うヤミ金型の手口など、「よくある失敗談」では済まないケースばかりです。本記事では、実際のファクタリング詐欺の事例から、どこに危険が潜んでいるのかを具体的に解説し、被害を避けるための視点を整理していきます。

ファクタリングとは?仕組みと「普通のファクタリング」と「詐欺」の違い

ファクタリングは、売掛債権をファクタリング業者に売却して早期に資金化する仕組みです。正規の業者は、登記や通帳確認、売掛先への確認などの審査を行い、そのうえで手数料を受け取ります。

これに対し「詐欺」とされるものは、架空の請求書や同一債権の二重売却、給与債権の買取を装った高金利貸付など、本来の債権売買を偽装する違法行為です。

両者を見分ける際の主なポイントは、次のような点です。

  • 審査があるかどうか
  • 手数料や総コストが明示されているか
  • 業者の所在地・連絡先・登記の有無など、実体が確認できるか

とくに、通帳・登記簿・納税証明などの複数書類を求めず、「請求書だけ」で高額買取をうたう業者や、法人契約にもかかわらず個人名義口座への送金を求める業者は、ファクタリングを装ったヤミ金である可能性が高く、十分な注意が必要です。

なぜ今、ファクタリング詐欺が急増しているのか

銀行融資の審査が厳格化し、資金調達の代替手段としてファクタリング市場が拡大した結果、多数の新規参入者が現れました。その中には、規制の空白を突いて悪質な手口を行う業者も含まれています。

とくに、コロナ禍以降の資金繰り悪化によって「即日で資金が必要」という企業が増え、そうした事業者が標的になりやすくなっている点が問題です。もともとファクタリングは「売買」と位置づけられ、貸金業登録が不要とされてきたため、貸金業法や総量規制を回避したいヤミ金が参入しやすい構造もあります。

その結果、「即日現金」「審査なし」といった文言を強調する偽装ファクタリングの広告が、SNS・FAX・ダイレクトメールなどを通じて大量に出回り、2017年頃から逮捕・判決事例が急増しています。

こんな手口に要注意|代表的なファクタリング詐欺のパターン

架空請求書・架空債権を使った詐欺

実例:Photoshopで請求書を偽造した個人事業主の末路

個人事業主が、実在しない取引にもかかわらずPhotoshopなどで請求書を偽造し、その債権をファクタリング業者に売却しようとしたところ、審査の過程で不一致が発覚し、私文書偽造罪や詐欺罪で告訴された事例があります。被害者になるどころか、加害者として刑事責任を負うことになります。

なかには、資金繰りに追い詰められた末に「一度だけならバレない」と考え、実在の取引先名を使って架空の請求書を作成したものの、業者の与信調査で取引先に照会され、取引先から否定されたことで発覚し、逮捕に至ったケースも報告されています。

どこでバレる?審査プロセスと発覚ポイント

正規のファクタリング業者は、以下のようなプロセスを通じて債権の実在性を確認します。

  • 取引口座の通帳を確認し、過去の入金履歴と請求金額・入金サイクルを照合する
  • 取引先企業の登記情報や連絡先を確認する
  • 必要に応じて取引先に直接照会し、取引の事実を確認する

こうした手続きにより、偽造請求書や架空債権は高い確率で発覚します。請求書だけをもとに即日で審査を通す業者は、利用者側の偽装や業者自身の違法性を見逃しやすく、そもそも正規業者とはいえない可能性が高いため注意が必要です。

適用される罪名と刑罰(詐欺罪・私文書偽造罪など)

架空請求書の作成や偽造が認められれば、私文書偽造罪として懲役数か月〜数年程度の刑罰が科され得ます。さらに、偽造した請求書を用いて資金を得た場合には、詐欺罪として10年以下の懲役に問われる可能性があります。

また、偽造請求書を利用して粉飾決算や虚偽の税務申告を行った場合、税法上の責任追及や、金融機関に対する背信行為として別途問題視されることもあります。

同じ売掛金を何度も売る「二重譲渡」詐欺

実例:資金繰りに追い詰められた中小企業が選んだ最悪の選択

資金不足に陥った中小企業が、同一の売掛金を複数のファクタリング業者に売却し、二重・三重に資金を得た結果、取引先への説明がつかなくなり、法的紛争に発展したケースがあります。

一時的には「資金が二重で入り助かった」ように見えても、支払期日が近づくにつれ各業者からの請求や問い合わせが殺到し、嘘の説明で取り繕おうとするうちに事態が悪化することが多いです。最終的には、詐欺容疑で刑事告訴される事例も少なくありません。

民法上のルールと、なぜ「完全にアウト」なのか

民法では、債権の譲渡に関して、譲渡禁止特約の取り扱いや、複数の譲渡がなされた場合の優先順位が定められています。同一債権を複数の相手に譲渡する二重譲渡は、第三者の信頼を裏切る行為であり、違法です。

通常、先に確定日付のある通知または登記を行った譲受人が優先されます。それ以外の譲受人には債権が渡らないため、後順位の業者からみれば「存在しない権利」を売りつけられた形になり、金銭をだまし取られたと評価されやすくなります。二重譲渡は「一時しのぎの資金調達」ではなく、他人の財産権を侵害する明確な詐欺行為として扱われます。

被害はどこまで及ぶ?取引先・家族への連鎖

二重譲渡が発覚すると、回収要求や訴訟が企業のみならず、代表者個人や家族、関連会社などにまで及ぶことがあります。

複数のファクタリング会社から取引先企業への直接請求が重なり、取引先の信用不安を招いて受注停止や取引解消に発展するケースもあります。また、個人保証や代表者個人名義の債務が絡んでいる場合、自宅や預金の差押え、家族への執拗な連絡などにより、経営破綻だけでなく生活基盤まで失うリスクがあります。

給与ファクタリングを装ったヤミ金手口

実例:七福神事件にみる「給与ファクタリング」の闇

いわゆる「七福神事件」では、給与債権の買取を名目として多数の利用者に高利で資金を供給し、違法な利息が認定された大規模な事案が問題となりました。最終的に、形式は「給与債権の売買」であっても実質は貸付であると判断され、違法利息の返還命令が出されています。

この事件では、全国のサラリーマン数万人規模を対象に、「給与の前払い」「給料ファクタリング」と称して数万円単位の資金を渡し、手数料名目で法定利率を大幅に超える金額を徴収していた実態が明らかになりました。

手数料20〜50%はほぼ確実に違法な理由

給与ファクタリングでは、給料日までの1〜2週間程度というごく短期間にもかかわらず、2〜5割にのぼる「手数料」を差し引くケースが多く見られます。これを年利に換算すると100%〜数百%に達し、実質的には超高金利の貸付と同視されます。

裁判所は、取引の形式が「債権の売買」であっても、返済期日や分割払いの有無、遅延時のペナルティなどの実態を総合的に考慮し、実態が貸付であると判断する傾向を強めています。その結果、出資法の上限金利を超える手数料をとるスキームは、違法と判断される可能性が非常に高いといえます。

取り立て・脅迫の実態と、被害者に起こったこと

給与ファクタリングを装ったヤミ金業者の多くは、取り立ての手口も悪質です。自宅や勤務先への執拗な電話、親族や同僚への連絡、SNSでの晒し行為をほのめかすなど、典型的なヤミ金型の取立てが行われています。

支払いが滞ると、元本を大きく上回る違約金や「和解金」を要求されることも多く、利用者は返済のために別の業者から借り入れを行うなど、借り換えを繰り返すうちに返済総額が膨れ上がっていきます。結果として、生活の破綻や自己破産に追い込まれた事例も少なくありません。

「ファクタリング装い高金利貸付」の共通サイン

実例:FAX・SNSの「即日資金調達」に飛びついた結果

住所も実態も不明確な業者からの「即日資金調達」のFAXやSNS広告に応じた企業が、高額な手数料と過酷な返還請求により破綻寸前に追い込まれた事例があります。

当初は「売掛金の買取」と説明されていたものの、契約書を詳細に確認すると、分割返済条項や遅延損害金の規定が盛り込まれており、実態は高金利の短期貸付であった、というケースが目立ちます。

事例から学ぶ|ファクタリング詐欺を避けるための視点

本記事で取り上げた事例はいずれも、「資金繰りに追い詰められたときほど、安易な近道に手を出してしまいやすい」という現実を浮き彫りにしています。架空請求書の偽造や二重譲渡は、表面的には一時しのぎになっても、刑事責任や取引停止、家族への影響など、取り返しのつかない代償を伴います。また、給与ファクタリングや「即日・審査なし」をうたうスキームの多くは、形式だけファクタリングを装った高金利貸付であり、利用者を長期的な返済地獄へと追い込む構造を持っています。

こうした被害を避けるうえで押さえておきたい視点は、次の3点です。

  • 「請求書だけで即日」「審査ほぼ不要」「手数料20〜50%」といった売り文句は、ヤミ金型スキームの典型例として疑ってかかること
  • 売掛債権の実在性を確認しない業者、登記や通知を行わない業者とは契約しないこと
  • 契約前に必ず専門家(弁護士・公認会計士・税理士など)へ相談し、条件やリスクを第三者の目でチェックしてもらうこと

資金繰りが厳しいときほど、冷静な判断が難しくなります。だからこそ、「法律上許される範囲なのか」「長期的に返済していける条件なのか」を必ず確認する仕組みを社内に持っておくことが重要です。危うい勧誘や不明瞭な契約条件に少しでも違和感を覚えたら、一度立ち止まり、情報収集と専門家への相談を優先しましょう。

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