ファクタリングが「怪しい」と言われるのはなぜか?
「ファクタリング=怪しい」というイメージの正体
ファクタリングが怪しいという印象は主に「高い手数料」「無登録業者の存在」「契約後のトラブル」に由来します。短期的には資金繰りが楽になっても、継続利用によって費用負担が膨らみやすく、不信感が広がっています。
とくに2社間ファクタリングでは、手数料が5〜30%程度と高く設定されることも多く、これを毎月のように繰り返すと、実質年利が30〜100%に達するケースもあります。銀行融資の金利が年1〜3%台であることを踏まえると、「ほぼ消費者金融並み」「闇金と変わらないのでは」と感じられやすい水準です。
また、2020年代以降、市場拡大とともに無登録・零細事業者が急増し、
- 売掛債権の二重譲渡を誘導する
- 脅迫まがいの取り立てを行う
といった事例も報告されています。こうした一部の悪質業者の行為が、「ファクタリング全体=怪しい」というイメージにつながっています。
法律的には合法なのに不信感が広がる理由
ファクタリングは、民法上の債権譲渡に基づく合法的な取引です。しかし、貸金業のような利率規制が適用されないため、手数料が事実上の高金利となることがあります。消費者保護の枠組みが薄い点も、不安を感じさせる要因です。
ファクタリングは形式上「売掛債権の売買」であり、「お金の貸し付け」ではありません。このため、貸金業法や利息制限法の上限金利(年15〜20%程度)の対象外となります。その結果、「手数料」「サービス利用料」などの名目で高率のコストを設定しても、直ちに金利違反として取り締まれないグレーゾーンが生じています。
さらに、ファクタリング業は銀行や貸金業のような免許制・登録制が確立しておらず、2025年時点では資金決済法など一部の規制を除き、参入障壁が低い状態です。金融庁や消費者庁も注意喚起をしていますが、制度整備が追いついていないため、利用者自身が「どこまでが適正か」を自衛的に見極める必要があることも、不信感を強める一因となっています。
「闇金と同じ?」という誤解と実態
ファクタリングは闇金とは性質が異なり、原則として売掛債権の譲渡によって現金化するサービスです。違法業者は存在するものの、適正な業者は契約書や債権譲渡通知などを明確に行います。
闇金の本質は、
- 返済能力を無視して高金利で「貸し付け」を行う
- 暴力的な取り立てや違法な督促を行う
点にあります。一方、健全なファクタリングでは、次のようなプロセスを踏み、「債権の売買」として処理します。
- 実在する売掛債権があることを、請求書や契約書などで確認している
- 売掛先(取引先)の信用状況を審査している
- 売掛債権の譲渡契約書や、3社間取引の場合は債権譲渡通知・承諾を交わしている
ただし、名目はファクタリングでも、実態が
- 売掛債権なし(架空債権)
- 極端に高率な回収条件
- 反社会的な取り立て
に近い場合、裁判所から「実質は貸付=違法な高金利」と判断されるリスクがあります。このようなグレーな業者が「闇金系ファクタリング」と呼ばれ、ファクタリング全体との混同を招いている点は押さえておく必要があります。
そもそもファクタリングとは?仕組みを3分で整理
売掛債権を現金化するサービスの基本
ファクタリングは、請求書(売掛債権)をファクタリング会社に売却し、手数料を差し引いた金額を早期に受け取る仕組みです。
例えば、30日後払いの100万円の請求書を手数料10%で売却すると、利用者はファクタリング会社から90万円をすぐに受け取り、その後の回収リスクはファクタリング会社側が負うか、契約内容に応じて利用者が負担します。
利用者にとっては、次のような特徴があります。
- 銀行融資と比べて審査が早く、最短当日〜数日で資金化できる
- 赤字決算や債務超過でも、売掛先が優良であれば利用しやすい
売掛金の入金を待っている間の「つなぎ資金」を確保するためのツールと考えるとイメージしやすいでしょう。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違い
2社間ファクタリングの特徴
2社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社の2社のみで行う方式で、売掛先に債権譲渡を通知しません。利用者が売掛金を回収し、その後ファクタリング会社に支払います。
- 売掛先に知られたくない、取引関係に影響を与えたくない中小企業・個人事業主が利用しやすい
- 売掛先に債権譲渡の通知をしないため、同じ請求書を複数業者に売る二重譲渡や、「どこに支払えばよいか分からない」といったトラブルが生じやすい
- こうしたリスクを織り込んで、手数料が高く設定される
このように、利便性がある一方でトラブルの温床になりやすい構造があります。
3社間ファクタリングの特徴
3社間ファクタリングは、利用者・ファクタリング会社・売掛先の3者が契約に関与する方式です。
- 売掛先に対して債権譲渡の通知と承諾が行われる
- 支払期日に、売掛先がファクタリング会社へ直接入金する
このように資金の流れが透明で、ファクタリング会社側のリスクが低いため、手数料も3〜15%程度に抑えられやすくなります。建設業や製造業など、継続的な取引を行う中小企業が、資金繰り安定化の目的でよく選ぶ方式です。
「融資」との違いと貸金業法との関係
ファクタリングは融資ではなく債権譲渡であるため、貸金業法の金利規制は直接適用されません。このため、実質年利に換算すると非常に高く見えることがあります。
銀行融資やビジネスローンは「お金を借りて、元本+利息を返済する」取引であり、利率は利息制限法などの規制対象です。一方、ファクタリングは「売掛金(債権)を割安で買い取ってもらう」取引であり、貸金業の登録や金利規制の枠外にあります。
ただし、あまりに高率な手数料や、返済義務の内容・契約形態によっては、裁判で「実質は貸付」と判断され、出資法違反(高金利)等に問われる可能性があります。近年は金融庁も「実態が貸金に近い違法ファクタリング」への監視を強めており、今後は貸金業法に近い規制やライセンス制度が導入される可能性も指摘されています。
「怪しいファクタリング」の典型パターン
手数料が異常に高いケース(実質年利50%超も)
短期間の取引で高い手数料を繰り返し取る、回収時に追加費用を請求するなど、実質負担が過大になる業者には注意が必要です。
例えば、30日サイトの売掛債権100万円を、手数料20%で2社間ファクタリングした場合、利用者は80万円を即日受け取り、1カ月後に100万円をファクタリング会社へ支払います。この1回だけでも、年率換算で約240%相当のコスト負担になることがあります。
さらに、次のような手口により、実質的な手数料が50%、60%と膨れ上がる例も報告されています。
- 「初回手数料は10%」と案内しながら、契約書には「事務手数料」「管理費」「早期回収費用」など別名目の費用を上乗せする
- 回収が遅れたタイミングで、「遅延損害金」や「違約金」を二重に請求する
こうした異常に高い手数料設定は、すでに金融庁や消費者庁が問題視しており、「違法ファクタリング」として摘発されるケースも出ています。
無登録・無許可業者が狙うターゲットの特徴
無登録・無許可の業者は、資金に困った個人事業主や赤字企業を狙い、訪問やSNSで即日契約を迫る手口を多用します。
とくに、次のような状況にある事業者は、執拗にターゲットとされやすい傾向があります。
- 税金や社会保険料が滞納している
- 銀行からすでに融資を断られている
- 消費者金融やビジネスローンの利用枠が限界に達している
このような層に対し、無登録業者は以下のような文言や手法を用いることが多く見られます。
- 「ブラックでもOK」「審査なし」「今日中に現金化」などの甘い勧誘文句
- X(旧Twitter)やInstagram、DM、LINE等による匿名性の高い勧誘
- 自宅や店舗への突然の訪問営業
こうしたケースでは、契約書や重要事項の説明が十分に行われないことが典型的です。背後に貸金業者や反社会的勢力が関与している例も指摘されており、「あまりに都合のよい条件」を提示してくる業者には、特に警戒が必要です。
契約前と後で条件が変わるケース
見積もり段階と正式契約後で内容が大きく変わるのも、「怪しいファクタリング」によく見られるパターンです。
- 電話やWeb見積もりでは「手数料10%程度」と説明していたのに、契約書では20〜30%に引き上げられている
- 「追加費用は一切かからない」と言われたのに、契約後に「保証料」「更新料」などの名目で別料金を請求される
- 入金直前になって「審査に時間がかかったので追加費用が必要」と条件変更を迫られる
このような業者は、急いでいる利用者心理につけ込むことが多いため、
- 見積もり条件を書面やメールで必ず残す
- 契約書をその場でサインせず、必ず全文を確認する
といった自衛策が重要になります。
実在しない・不透明な売掛債権を利用させるケース
名目上はファクタリングでも、売掛債権が実在しない、もしくは実態のない取引を使わせるケースもあります。
- 実際には取引がないのに、「将来の売上」を売掛債権と称して契約させる
- 売掛先に無断で架空の請求書を発行させるよう指示する
- 売掛先が個人消費者で、債権の内容があいまいなまま契約させる
このような場合、裁判所から「実態は貸金」と判断されるリスクが極めて高く、後になって高金利の違法契約としてトラブルに発展する可能性があります。
怪しいファクタリングを見分けるためのチェックポイント
手数料と実質年利を必ず確認する
ファクタリングを検討する際は、提示された手数料を実質年利に換算してみることが重要です。
| 取引条件 | 手数料 | 取引期間 | 実質年利の目安 |
|---|---|---|---|
| 100万円・2社間 | 5% | 30日 | 約60% |
| 100万円・2社間 | 10% | 30日 | 約120% |
| 100万円・2社間 | 20% | 30日 | 約240% |
一般に、実質年利が50%を超える水準は、資金繰り改善どころか負担増につながる恐れが大きく、継続利用は避けるべきゾーンです。
「登録状況」「所在地」「連絡先」の公開状況を見る
現時点でファクタリング業自体に免許制度はありませんが、健全な業者ほど次の情報を明示しています。
- 会社名・代表者名・所在地
- 固定電話番号・問い合わせ窓口
- 資金移動業、貸金業など他の登録・免許の有無
これらがWebサイトに記載されていない、もしくは携帯番号・フリーメールアドレスのみの業者は警戒が必要です。
契約書・重要事項説明の有無
怪しい業者ほど、
- 口頭やLINEのみで契約を進めようとする
- 契約書を撮影・持ち帰りさせない
- 重要な条項(遅延損害金、違約金など)を説明しない
といった特徴があります。
一方、信頼できる業者は、
- 契約前に書面で見積もり条件を提示する
- 契約書を事前に送付し、内容確認の時間を与える
- 質問に対して丁寧に説明し、無理に急がせない
といった対応をとるのが一般的です。
まとめ:どこからが「怪しい」のか、見極めの基準
ファクタリングが「怪しい」と言われる背景には、高水準の手数料や無登録業者の横行、契約トラブルの多発といった現実があります。一方で、法律上は債権譲渡に基づく正規の取引であり、仕組みやリスクを理解したうえで利用すれば、資金繰りの一手として検討しうる側面もあります。
とくに、2社間ファクタリングは利便性と引き換えにトラブルが起こりやすく、手数料も高くなりがちです。3社間ファクタリングは手間は増えるものの、取引の透明性が高く、費用負担も抑えやすい構造があります。「融資ではなく債権譲渡である」という性質から、貸金業法の金利規制が直接かからない点も押さえておきたいところです。
怪しさの分かれ目は、
- 実在する売掛債権にもとづく正当な取引か
- 総支払額を年利換算しても、現実的に耐えられる水準か
という2点にあります。焦って契約する前に、条件を数字で冷静に比較し、少しでも不透明さや違和感を覚えた場合は、他の資金調達手段も含めて慎重に検討することが重要です。

