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社会保険料を滞納していても資金調達できるファクタリングの仕組み

目次

社会保険料の滞納があるときに検討したいファクタリングとは

社会保険料の滞納が膨らむと、延滞金や差し押さえリスクに追われ、銀行融資も行き詰まりがちです。「今すぐ資金が必要だが、もう打つ手がない」と感じている経営者も多いのではないでしょうか。

この記事では、社会保険滞納のある状態でも検討できる「ファクタリング」を取り上げ、その仕組みや利用の可否、注意点をわかりやすく解説します。

社会保険料を滞納していても資金調達できるファクタリングの仕組み

社会保険料を滞納していても資金調達はできるのか

社会保険料を滞納すると延滞金が発生し(短期でも加算されます)、最悪の場合は預金や売掛金の差し押さえが行われます。延滞金は原則として「最初の2カ月は年2.4%程度、その後は年8%台」という水準で日割り加算されるため、数カ月放置しただけでも負担が一気に膨らみます。

税務署や年金機構からの督促が続くと銀行融資は難しくなり、納税証明や信用調査で融資審査に落ちやすくなります。金融機関から見ると「税・社会保険の滞納=資金繰りの赤信号」と判断されるため、追加融資はほぼストップしてしまいます。

このような状況でも、ファクタリングであれば資金調達の可能性があります。ファクタリングは「売掛金の譲渡」による資金化であり、借入のように申込者の税・社会保険の納付状況そのものを主な審査対象としないためです。

審査では売掛先の信用力や請求書の妥当性が重視されるため、赤字決算や社会保険料の滞納があっても、売掛先が上場企業・大手企業・官公庁・社会保険支払基金などであれば、利用が認められるケースが少なくありません。

一方で、滞納が長期化して年金機構などに売掛金を差し押さえられてしまうと、その売掛金自体を譲渡できなくなり、ファクタリングの利用余地は失われます。この意味で「差し押さえ前の早い段階で動くこと」が極めて重要です。

ファクタリングとは何か ― 融資との違い

ファクタリングの基本的な仕組み

ファクタリングは、事業者が保有する売掛金(請求書)をファクタリング会社に売却し、早期に現金化する仕組みです。借入ではないため、ローンのような返済義務ではなく「債権譲渡」に該当します。

契約形態としては民法上の債権譲渡契約に基づき、必要に応じて「債権譲渡登記」を行うなど、法的にも保護された取引として扱われます。

融資との決定的な違い

審査で重視されるのは、申込事業者ではなく「売掛先」の信用力や支払能力です。利用者が赤字や債務超過であっても、売掛先が公的機関や上場企業など信用力の高い相手であれば、利用が認められやすくなります。

逆に、売掛先の経営が不安定で支払遅延が常態化している場合は、利用者側が黒字であっても審査は厳しくなります。これが「社会保険料滞納中でも利用しやすい」とされる主な理由です。

また、融資と異なり、ファクタリングは一般的に信用情報機関(CICなど)の個人信用情報に登録されません。そのため、将来の住宅ローンや事業性融資に対して直接的な悪影響は生じにくいとされています。

一方で、売掛金を前倒しで資金化していることは、取引先や税理士などには把握されうるため、「一時的な資金繰り対策」として計画的に利用することが前提となります。

社会保険滞納中にファクタリングが使えるケース・使えないケース

ファクタリング利用が検討できるケース

  • 赤字決算でも、売掛先が大手や安定企業で支払いが確実な場合
    例:大手メーカー・上場企業・官公庁・社会保険支払基金などを売掛先とする下請業者や医療機関など。
  • 社会保険料や税金について分納相談中で、誠実に対応している場合
    年金機構や税務署との間で分納や納税猶予の合意ができていると、「今後も事業を継続する意思がある」と判断されやすく、ファクタリング会社側にとっても安心材料になります。
  • 延滞はあるが、まだ差し押さえに至っていない段階
    督促・催告レベルにとどまり、具体的な差し押さえ手続きに入っていないうちは、売掛金を自由に譲渡でき、滞納解消のための原資として有効に活用できます。
  • 医療・介護事業者で、診療報酬・介護報酬など「入金元が公的機関」の売掛金を保有している場合
    医療・介護分野に特化したファクタリング会社が多数存在し、社会保険料の滞納があっても柔軟に対応してくれるケースが多く見られます。

利用が難しくなる、またはほぼ不可能なケース

  • 年金機構や税務署が既に売掛金を差し押さえている場合
    差し押さえられた売掛金は法律上、自由に処分できないため、ファクタリングの対象にはできません。
  • 滞納が長期化し、督促や差し押さえ予告が出ている場合
    差し押さえ予告が出ている状態は、「いつ売掛金に公的なロックがかかってもおかしくない」局面です。ファクタリング会社から見るとリスクが高く、申込段階で断られる可能性が高くなります。
  • 売掛金が少額、あるいは回収不能のリスクが高い場合
    一件ごとの売掛金が極端に小さい、入金サイトが極端に長い、支払遅延が常態化している取引先などは、滞納の有無にかかわらず採算が合いにくく、買取を断られることが多くなります。
  • 売掛金がすでに支払期日を大きく過ぎており、「ほぼ不良債権」と見なされる場合
    ファクタリングは「将来入金が見込める正常債権」が前提です。回収見込みが乏しい債権は、そもそも対象外となります。

社会保険滞納時にファクタリングを利用するメリット

  • 差し押さえ前に現金を確保し、滞納解消や分納に充てられる
    例として、社会保険料500万円を滞納している医療機関が、診療報酬の売掛金をファクタリングで前倒しし、一括または数回の分納で完済した事例があります。差し押さえリスクを回避しながら事業継続が可能になります。
  • 延滞金の増加を抑制できる可能性が高い
    延滞金は日々増加するため、1〜2カ月早く納付するだけでも総支払額を抑えられます。ファクタリング手数料が高めであっても、結果的に延滞金より安く済むケースもあります。
  • 借入ではないため、信用情報(いわゆるローンのブラックリスト)に記録されにくい
    銀行融資や消費者金融とは異なり、通常は個人信用情報機関への登録対象ではありません。そのため、「将来マイホームの住宅ローンを組みたい」といった方でも利用しやすい資金調達手段です。
  • 売掛先の信用力を活用できるため、赤字や債務超過でも調達しやすい
    「自社は3期連続赤字で金融機関からは相手にされないが、大手企業への売掛が毎月発生している」といった中小企業・フリーランスにとって、現実的な選択肢となり得ます。
  • 銀行融資と並行して利用できる
    ファクタリングは融資枠とは別枠で利用できるため、「当面の滞納解消はファクタリングで対応し、中長期の運転資金は銀行融資で賄う」といった役割分担も可能です。

見逃しがちなデメリット・リスク

  • 手数料が高めで、年利換算すると高金利に相当する場合がある
    手数料の相場は5〜20%程度ですが、入金サイト(売掛金の回収までの期間)が1〜2カ月の場合、年率に引き直すと15〜30%超となることもあります。延滞金との比較や、今後の資金繰りのシミュレーションを行ったうえで慎重に判断することが不可欠です。
  • 一度頼ると売掛金の前倒し依存が常態化しやすい
    今必要な資金を前倒しで確保すると、来月以降の資金繰りはその分だけ厳しくなります。そのギャップを埋めるために再度ファクタリングを利用し、「依存の連鎖」に陥るリスクがあります。
  • 悪質業者による高額手数料や二重譲渡などの問題がある
    法人格はあっても実態は「高利の貸金業」に近い業者も存在し、30%超の手数料や、売掛金を二重に譲渡させる違法スキームなどが問題となっています。金融庁や業界団体のガイドラインに準拠し、債権譲渡登記などを適切に行う業者かどうかを見極めることが重要です。
  • 償還請求権付き(ノンリコースでない)契約では、売掛先が支払えないと利用者に負担が及ぶ
    「回収不能の場合は買い戻し義務あり」といった契約形態では、売掛先が倒産した際にファクタリングで得た資金を返金しなければならず、かえって資金ショートを招くおそれがあります。
  • 売掛金の減少が、取引先や金融機関に「資金繰り悪化のサイン」と受け取られる場合がある
    売掛金が継続的に小さくなっている決算書を見た金融機関は、「ファクタリングに頼っているのではないか」と疑い、与信判断を慎重にすることがあります。

社会保険滞納対策として向いているファクタリングの種類

2社間ファクタリングと3社間ファクタリング

2社間ファクタリングの特徴

2社間ファクタリングは、利用者(債権者)とファクタリング会社の2者のみで行う取引です。売掛先には通知せずに資金化できるため、取引先との関係に配慮したいケースで選ばれることが多くなります。

メリット デメリット
  • 売掛先に知られずに資金調達しやすい
  • 契約から入金までが比較的スピーディー
  • 差し押さえ前の緊急時にも使いやすい
  • 3社間に比べて手数料が高くなりやすい
  • 売掛先からの入金を一度自社で受け取り、ファクタリング会社へ支払う形となるため、資金管理がシビアになる

3社間ファクタリングの特徴

3社間ファクタリングは、利用者・ファクタリング会社・売掛先の3者間で行われる取引です。売掛先に債権譲渡を通知し、以後の支払先をファクタリング会社に変更してもらいます。

メリット デメリット
  • 2社間より手数料が抑えられやすい
  • 売掛金の入金が直接ファクタリング会社に行くため、資金フローが明確
  • 売掛先への通知・同意が必要で、実務上ハードルが高い
  • 取引先に「資金繰りが厳しいのでは」と受け取られるリスクがある

社会保険滞納とファクタリングを両立させる際のポイント

社会保険料を滞納している状況でも、売掛先の信用力や債権の内容によっては、ファクタリングで資金を確保できる余地があります。とくに、診療報酬・介護報酬など公的機関が支払元となる売掛金や、大手企業・官公庁向けの売掛金を保有している場合は、銀行融資が難しい局面でも選択肢になりやすい手段です。

一方で、年金機構や税務署による差し押さえが始まってしまうと、そもそも売掛金を譲渡できなくなり、ファクタリングを検討する余地も狭まります。滞納が膨らんでいるほど延滞金も日々増えていきますので、「差し押さえ前のタイミングで、どの債権をいくら資金化するか」を早めに検討する姿勢が欠かせません。

また、ファクタリングは便利な反面、手数料負担が重くなりやすいため、

  • 延滞金や他の資金調達手段との比較
  • 来月以降の資金繰りシミュレーション
  • 分納・納税猶予など公的な制度活用

といった点を踏まえ、一時的な資金繰り改善のための「出口戦略」を明確にしたうえで活用することが重要です。

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